Ririn★さんからの質問
        ライトノベル作家デビューに必要な要素
        
        初めまして。Ririn★です。
        主に鍛錬投稿室・掌編の間でお世話になっております。
        最終的には物書きになりたいと思っており、みなさんのご指導をいただいております。
        これからも厳しいながらもご指導いただければ幸いです。 さて質問の内容になります。
 プロになりたいと思っている方へ質問です。
 「独自の文章」「独自の世界観」「独自のキャラ」……
 という観点で感想を言ったり評価を求める方が時々いらっしゃいます。
 趣味で書かれている方なら問題ないと思うのですが、
 プロを目指されている方で上記のような観点で感想を求めたり、
 感想を書いたりしいるのはどんな点を意図しているのでしょうか?
 そう疑問に思ったのは市場のニーズがない「独自」にはプロになる道がないと感じるからです。
 読者の方が面白いと感じるかどうかを聞くならともかく、
 「独自」かどうかを気にするのはプロになるために必要なことだと思えないの� ��す。個人的に。
 そういった面で上記のような疑問が沸いてきました。
 あとお時間があるのであれば、みなさまが感じている
 「デビューに必要な要素」もあげていただければと思います。
 私は「市場のニーズを捉える感性」と「それにあわせた作品を書ける技術」だと思っております。
 プロを目指されている方はお忙しいとは思いますが、ぜひご意見を交換できればと思います。
 もちろんプロを目指されていない方でもご意見いただければ幸いです。
●答え●
REDさんからの意見
 Ririn★さん、こんにちわ。
 これは案外簡単な問題です。
 公募で求められているのは「売れそうな独自」です。我が道を行くような独自は求めていません。
 境界線は難しいですけどね 、出版社によっても違いますから、
 余所でダメなものがこちらではOKとか、ザラにあります。
 で、どんな独自ならいいのかって、そんなのが簡単に判れば苦労しない話で、
 だからこそ他者の感想が聞きたいわけです。
 独自性が必要ない、というのはある意味デビュー後のこととなります。
 編集側が用意した企画に合わせて売れそうなものを書くのは珍しいことではないでしょう。
 しかし、公募ではあくまで売れそうな独自が求められます。
 市場のニーズに合わせて作品を書ける人間なら、既存のプロにいくらでもいるので、
 そちらに書かせればいいだけの話ですから。
 ハッキリ言えば編集部が恐れるのはマンネリ化であって、
 そういったところに新風を吹き込んでくれる存� �を待ち望んでいます。
 それが公募だ、と考えるとわかりやすい。
こぶしさんからの意見
 市場のニーズに合わせた作品。
       ↓
 そんなこと作家志望の多くが、意図的に、あるいは無意識にやっているという事実。
       ↓
 そのせいでRirin★さんがおっしゃる『市場』に、
 ニーズに合わせた似たり寄ったりのつまらない作品があふれかえる。
       ↓
 書店にならぶ多くのラノベに「どれも同じような内容で個性がねぇ!」と多くの読者が思っている件。
       ↓
 どのラノベの応募内容にも、『個性あふれる』、『時代を変えるような〜』など、
 『独自性』のある作品を求めている事実。
       ↓
 ラノベで珍しい� ��経済』を主軸にした『狼と香辛料』など、独自性のある作品は評価が高い。
       ↓
 しかし、どの独自性のあるラノベ作品も、『独自性』と、
 なんだかんだで読者が求めている『テンプレ的な要素』という『ニーズ』も織り交ぜてある。
       
 結論。
<新たな切り口である『独自性』と、オタク市場にそった『ニーズ』のバランスこそ、
 『受賞を狙うプロ作家志望』が心がける創作姿勢である>
 まあ、これって結局、『受賞を狙うための安全牌』であるってだけで、
 『創作者の感性』や『書きたい作品』や『応募するレーベルのカラー』によって、
 まったく別の創作姿勢が求められるんですけどね。
 だから、『こうあるべきだ!』だなんて、断言し ちゃう狭い考え方じゃ、
 作家志望として終わりじゃなかな。
 たくさんの方面がある創作に対して、何かを決めつけるなんて愚の骨頂かもしれませんね。
 Ririn★さんのおっしゃる創作姿勢では、
 読者が飽きている『ありきたりな作品』の大量生産にしかならない。
 でも、『ありきたりな萌えラブコメが読みたいんだ!』っていうニーズは、かなり大きいですからね。
 何かを否定的に考えるのではなく、
 何かを肯定的に考えるのではなく、
 もっと広い視野で考えを巡らして、
 ゆっくり書くべき作品を見つける。
 それが一番大切なんじゃないかと。
 って、読書専門のぼくがいわなくたって
 作家を目指すみなさんなら、そんなこと当たり前ですよね?
 ちなみに、「独� ��の文章」「独自の世界観」「独自のキャラ」……
 という観点で感想を書く人っていうのはですね。
 上記であげたとおり、
 「どれも同じような内容で個性がねぇ!」
 って思ってる方々じゃないのかな。
 それは、Ririn★さんが感じている、
 「市場のニーズを捉える感性」と「それにあわせた作品を書ける技術」
 という読者に媚びたやり方を続け、『独自性』を蔑ろにした結果なんだと思いますね。
 どっちが正しい。
 そんな断定的な考え方をしないことが、一番重要じゃないかとぼくは思います。
 どちらも取り入れるべきです。
飛車丸さんからの意見
 何かの要素を本気で追求してみたら、いいのじゃないでしょうか?
 既存のニーズに合わせるってのも� ��とことんまで突き詰めれば一つの独自性になりますから。
 そこまで行かなきゃ、ただの劣化コピーで終わるだけです。
ひすいさんからの意見
 どうも、ひすいと申します。
 うーん、その「独自」の種類や程度によってさまざまだとは思いますけど……
 市場にニーズのある独自って、どんな独自なんですか?
 なににニーズがあって、なににニーズがないんでしょう?
 独自とは、そのひとだけが持っている、ほかとは違う部分、
 つまりほかのひとには真似出来ないようなそのひと特有の部分ということです。
 その「独自」が読者に気づかれないような微々たるものであったり、
 読者の理解出来ないようなものであるならまだしも、
 そうでないならば、その人特有 の要素はおおきな武器になるとは思いませんか?
 そもそも「市場」が求めているもののなかに、今までになかったような要素、
 その人にしか考えつかないような要素、つまり「独自性」が含まれていると思うのです。
 誰にでも考えつくような要素なんて、市場はそれほど積極的に要求してませんよ。
 したがって独自のものを身につけることは、決して無駄ではないと思うのですが……。
 すくなくとも感想を求めている側は、自分が独自だと思って書いたものが、
 はたしてほんとうに独自なものなのか、もしかしたらほかのひとがすでに使っている要素ではないのか、
 そしてその要素が、作品を面白い方向へと引っ張っているのか、
 といったところを確かめるために求めているのではないかと� ��います。
 で、私は「常に新しいものを求めていく気持ち」「満足しないこと」それと運が、
 デビューに必要なんじゃないかと思います。
 ニーズに応えるのも大切ですけど、あまり意識しすぎると逆に
 「読者・市場に媚びている」ような作品になって、逆効果じゃないかなぁ、と私は思います。
 では。
せとかさんからの意見
 評価シートには『オリジナリティ』という項目があります。
 基本的に新人賞で求められているのは既成概念を吹き飛ばす勢いなわけです。建前は。
 趣味で書くなら独自性の有無もニーズも気にしないで好きに書けばいいですが、
 賞を目指すなら既製品と似た物しか創れないのは不利となります。
 独自性って要は『自分にしか創� ��ない面白味』=強味のことなんですね。
 あと、ニーズの後追いよりは、ニーズを先読み又はニーズを生み出せる力の方が重要かと。
ぽろろさんからの意見
 ちわっす、プロ目指してるぽろろです。どこかで、
 「大賞は本当に面白いオリジナリティ溢れた作品、金賞以下はニーズにあった売れる作品を選ぶ」
 というのを聞きました。
 
 金賞以下はRirinさんの言う「プロ」を選び、
 大賞に関してはREDさんの言う「新しい風を運んでくれるプロ」を選ぶらしいです。
 
 この「新しい風」は、ただの「プロ」では書けないからこそ価値があるのです。
 もちろん文庫お抱えのプロから「新しい風」が生まれる場合もありますが、
 確率を上げる為に賞金をつけて 外部から新しい風を吹き込ませようとしているらしいです。
 そして、どこかのファッション雑誌の編集者さんが、
 「あのファッションが流行ですが、このファッションもどうですか?」
 という雑誌を作ることを心がけているらしいです。
 
 せとかさんが書いている「ニーズを生み出すプロ」、
 つまり「今までにない面白い物を読者に薦めるプロ」というのが上に書いた
 「新しい風を運んでくれるプロ」であると思います。
 つまり「ツンデレもいいが無口キャラもいいぜ」という作品を書くのが大賞で、
 「ツンデレっていいよな」という作品を書くのが金賞以下らしいです。
 大賞がいい訳ではありませんし、金賞が悪い訳ではありませんが、
 少なくとも大賞ではそのような作� �を選んでいるらしいですし、
 その大賞に選ばれる要素というのが、独自性なりオリジナリティなりになるんだと思います。
 「デビューに必要な要素」ですが、おそらく全部必要です。
 文章力も世界観もキャラもニーズもオリジナリティも。
 
 ついでに言えば、ニーズはニーズでも必要なのは「レーベルにそったニーズ」が必要だと思います。
 読者のニーズを考えるのは作者じゃなくて編集者です。
 そんな感じで。
 ……ところで、自分は電撃文庫でのデビューを目指してるんですが、
 電撃文庫のニーズって何なんでしょうね、色々なジャンルが入り乱れて訳分からん。
みつきさんからの意見
 Ririn★さま、こんにちは。
 皆さんは、『独自』=『いかに売 れ線ニーズから外れているか』という意味で言っているのではなくて、
 『独自』=『作者の個性の発露として認められるか』という意味で使ってるんだと思いますよ。
 『個性』は小説を仕事でやっていくのにとても大事な売りになるものですから、
 それを持つのは何の問題もないと思います。
>みなさまが感じている「デビューに必要な要素」もあげていただければと思います。
 そうですね……『いろんな小説を読み慣れた編集者や選考委員の作家先生たちが、
 思わずビックリしてしまうような面白い小説が書ける』ことが大事かなーと。
 あと、『表面的な「市場のニーズ」の奥にある、「読者が本当に求めているもの」を深読みして、
 そのニーズを半歩先取りできる能力』とか?< /p>
>「市場のニーズを捉える感性」と「それにあわせた作品を書ける技術」
 正直、そんな書き手って掃いて捨てるほどいるんですよね……。
 勝負カードが、そういった『誰でも出来ること』一枚しかないとしたら、それにプラスして、
 『そこそこの面白さ』と『神業的手の早さ』ってのが何より要求されます。
 
 一定レベルの完成度を保ちつつ、一ヶ月で文庫本三〜四冊分くらい書ける手の早さがあれば、
 どこかで拾ってもらえるかもしれません。
 実際、そういう風に隙間にねじ込んでいく凄腕ライターさんもいるにはいますよね。
 でも、そういったポジションって競争が激しいですし、一定レベルのものは書けない、
 手も遅い、という人は最初から、スタートラインに� �立てないままに弾かれちゃうといいますか……。
 それではこれにて。